『СЗР』(B.A.KAПЯГИН、Ural Problemist)

2003年08月31日(日)

エンドゲームのアンソロジーで、280作ほど収録されている。

モスクワの大会で、受付のときにいただいたフォルダーに入っていた本のひとつ。

日本の詰将棋全国大会の受付のときに、全員に『○○会作品集ウン百題』を配るようなものだ。

ただ、私はエンドゲームはよくわからない。

似たような作品ばかりに見えて、どこに工夫を感じたらいいのかわからないのだ。

ただ、最後の方に載っていた簡素形の作品は、いい感じだった。


これは最初のほうだけど、Q鋸を見つけたので、ご紹介。


CA.Ceливaнoвым

MKЗ.Биpнoвa ,1987

Win


1.Sg5 c3 2.h7 c2 3.h8=Q+ Kb1 4.Qh7 Kb2 5.Qg7+ Kb1 6.Qg6 Kb2 7.Qf6+ Kb1 8. Qf5 Kb2 9. Qe5+ Kb1 10.Qe4 Kb2 11.Qxb4+! Ka1 12.Qd2! Kb1 13.Se4! c1=Q 14.Sc3+



極光IIの第87番(ばか自殺系、ばか自殺ステイルメイト、8手、パオ、中立パオ、中立駒使用、ツイン)

a)では桂合、b)では香合で、それぞれ凍らせてステイルメイト、というシナリオは明快。

合駒はチェスにないから、なんか手はないかなぁと思ったら、なんと合駒せずに詰むみたいだ。


H=3 UltraSchachZwang


1.nPAa7-b7 + nPAb7-h7 2.nPAh7-h3 + nPAd8-d3 3.nPAd3*h3 + WEg3*h3 =


したがって、b)には6手の早詰があり、a)にも合駒をしない同手数の余詰がある。

むう。こういうこともあるのかぁ。


『将棋上達講座(全)』(近代将棋社)

2003年08月30日(土)

昭和31年の将棋講座。内容は手筋や囲い・戦法の紹介、駒落ち定跡、平手の定跡、名局の解説、詰将棋の解図・創作法と盛りだくさん。

ちなみに詰将棋のコーナーは駒形駒之介氏で、昭和52年の「詰棋評論 下」にまるまる収録されている。


図書館に行って帰りに古本屋で、マンガ『いい電子1』(みずしな孝之、エンダーブレイン)を100円で買う。

開けてみると、表紙の次に、マジックペンで著者のイラストとサインがあった。(著者以外の名前はない)

サインをしてもらった本を古本屋に売ってしまうというのは、どういう了見なのか、またなんでそれが100円で売られているのか私にはわからない。



極光IIの第86番(ばか自殺系、ばか自殺詰、12手、中立歩使用、Madrasi)

「と金」という駒の動きが、上下対称でないことから可能となる、Madrasiルールを生かした詰め上がり。

動けたり動けなかったりする確認は、中立駒だと大変ややこしいけれど、歩が主役、ということで、合駒などは出てこない地味な手順だ。

同じような狙いを、チェスでやろうと思っても、こちらはたいていの駒が上下対称だから、こういう仕組みはなかなかできない。

できるような駒がないか探してみたら、Dragonという駒があった。

これは、将棋の竜(Rook+Fers)ではなく、ナイト+ポーンの性能を持つ、ちょっと風変わりな駒だ。


H#4 UltraSchachZwang Madrasi

Dragon(=S+P)h6

Neutral BerolinaPawn x 3


BerolinaPawnというのは、動きと取りの性能が逆転したポーン。すなわち、通常の移動はナナメ前方に移動し、駒を取るときは直進。

プロモーション、ダブルステップやアンパッサンなどのルールも、ポーンに準じている。

作品のほうは極光IIのマネ。bRg2の配置が残念。


『ささらさや』(加納朋子、幻冬社)

2003年08月29日(金)

マンガチックという感じがしたので調べてみたら、実際にマンガ化されているみたいだ。でも、これはかなりいい作品だと思う。人にお勧めしやすい本。

ただ、あまりにも登場人物がいい人ばかりなので、私みたいなひねくれものには、食い足りないかもしれない。

しかしながら、実は私は、ホラーをビデオで観るとき、途中で何度か止めて、心の準備をしてから続きを観るタイプの小心者なので、こういうヒロインには共感を持てる。

(このヒロインはそもそもホラービデオなんて観ないのではないか?というツッコミはさておき)


ここのホームページはリンクフリーだし、どうせ一般の方にはわかりにくい世界をテーマにしているから、あまり周囲のことは気にしていないのだけど、私の知らない間に、紹介されていることはあるようだ。

私のところはリンクフリーだし、気持ち程度のことなら別に構わないけれど。

小心者だからすぐにガクガク((( ((;゚Д゚)) )))ブルブルしてしまうのである。



極光IIの第85番(追加配置、G3枚を追加してばか詰5手を作れ)

追加配置系。そもそもG3枚で詰むはずがないから、合駒を入手する手順を構成しなければならない。

その形はかなり限定的なので、この図しかありえないというわけ。

とはいえ、最終手の85金が74Gの踏み台となって、96の地点をブロックしているというのが、面白いか。

ところで、完全作を作れパターンというのは、そもそも創作の動機になっていることが多くて、


追加配置。G3枚を追加して、H#3.5 2解 TransmutedKings (No White King) を作れ。

ただし、2解の詰め上がりは、違う形になること。

左右対称なんてのは、もちろんダメとする。



なお、TransmutedKingsは、いわゆる鏡詰で、玉が王手をかけた駒の性能になるルール。白のキングはない。


で、まあ、こんなのが解になるわけ。


H#3.5 2sols. TransmutedKings (No White King)


これを回転・反転させた図は考えられるけれど、これ以外にあるのかな?


『おぞけ』(篠田節子・加門七海他、祥伝社文庫)

2003年08月28日(木)

かなり涼しくなってきた。この本のおかげではないけれど。


近代将棋10月号に、先月の全国大会の記事が載っている。

池崎さんによると、谷川先生は、「上田さんと若島さんの対談だから難しい内容かと思ってましたがわかりやすかった」そうだ。

まあ、ひとそれぞれということだろう。

詰将棋全国大会のレポートは吉松さん。「詰将棋マニアの熱い夏」だそうだ。

吉松さんは「ほとんどの参加者が理解不能の世界になるのではないかと危惧されましたが、池崎さんの巧みな司会と、ご両人の的確な発言により、フェアリーの世界が身近なものに感じられました。」と。

ただ、このあとの話のつながりが、ちょっと変になっている気がする。

「休憩時間には」「プログラムも進み」の段落は、「対談の主な発言を」の段落の後に来るのではないだろうか?


106ページの囲碁・将棋チャンネルのお好み将棋道場、30日の椎橋六段と対戦するゲスト・橋本考治さんというのは、あの孝治さんのことだろうか?



極光IIの第84番(ばか自殺系、ばか自殺詰、20550手)

Vizirは上下左右に1つづつ進む駒。ちなみにナナメ方向に1つづつ進む駒は、Fersと呼ばれる。

いずれも、チェスプロブレムでは非常に地味な駒だと言える。

何せ、チェスでは、キングもポーンも、場合によっては距離2を移動することができるのだ。


さて、この作品は、狭いところにVizirを敷き詰めての、入れ替えパズル。

Vizirの中に、金を交えて展開される謎解きは、さながらアルミニウムの中に少しマグネシウムや亜鉛を加えてジュラルミンを作るようなものか。(意味不明)


私もVizirを狭いところに敷きつめて、長手数を狙ってみた。

長手数とはいっても、そこはPopeye君が解ける範囲に留まるわけだが・・・できたのがこれ。

287手は将棋でいうと574手。


H=287 UltraSchachZwang

×=hole

G=Neutral Grasshoppers

WE=Vizir


holeというのは進入禁止マスでフェアリー駒ではない。したがって、Grasshopperの飛び越しはできないことに注意。


『ドゥームズデイ・ブック 下』(コニー・ウィリス、ハヤカワ文庫)

2003年08月27日(水)

『ホットゾーン』は94年で、映画『アウトブレイク』は95年。これは92年の作品だから、発表当時は新鮮だっただろう。

しかし、現代のSARS禍の下では、突発性伝染病の恐ろしさと、その応急的対応などについて、読者の経験値が上がっているから、今はこの長さが冗長に感じられると思う。そもそも、免疫学や血清医療など皆無だった14世紀ならともかく、タイムトラベルができる未来において、こんなにバタバタと未知の病気で死んでいくなんてことがあるのだろうか?と首を捻ってしまう。


まあしかし、それは周辺的事情にまつわる話なわけで、作品の本質的評価とは違う。

この作品では近未来と14世紀の両方で同じようなパニックになってしまうわけだけれど、二つの時代の両方に出てくる人々も、きちんと対比されている。

つまり、


・偉いのだけど、全然出てこない方

・自分の過ちを棚に上げて責任転嫁する人

・ひたすら周囲に気を遣いまくりで倒れてしまう人

・軟派だけどたまに役に立つ人

・お転婆役

・使われ役 とか。


それが面白いのだけれど、しかし、このことにはすぐに気付くから、こんなに話をひっぱる必要はないと思う。


王位戦第4局は羽生が1勝を返す。ものすごい激戦!感動的な将棋だった。まだまだ先があるような気がする。



極光IIの第83番(自殺系、自殺詰、14手)

本作品集中、もっとも伝統詰将棋に似た作品。

移動中合のアクセントがあるが、自殺系なので珍しくは無い。

さて、こういった王手連続の自殺詰というのは、以前も書いたが、チェスでもできないことはない。

WhiteUltraSchachZwangというのが、白側が必ず王手を続けなければならないというルール。

また、以前は、持駒再使用とSuperCirceとを対比させたけれど、実は取った側の駒として復活させるCirceもあり、むしろそっちのほうが、将棋的なのかもしれない。


S#8 CirceDoubleAgents WhiteUltraSchachZwang


これはちょっと一本道すぎるけれど、もうちょっと面白いのも作ることができると思う。


『ドゥームズデイ・ブック 上』(コニー・ウィリス、ハヤカワ文庫)

2003年08月26日(火)

歯痒すぎ。いつまで引っ張るねん。花月やったら客帰ってしまうだろう。

でも、設定は面白いし、人物は書けているし、展開もわくわくできて、このブ厚さもまったく負担にならないのはいいけど、その分歯痒さ倍増だ。


王位戦第4局は、羽生のゴキゲンに、谷川は銀を鎖鎌に出す対策。

これはアマチュアではたまに出てくるけれど、名人がどう応じるのか注目だ。



極光IIの第82番(ばか系、ばか千日手、グラスホッパー使用、76手)

複数のグラスホッパーは不規則で微妙な動きをするから、とても人力で解明しようという気にはならないが、上田さんは、機械に頼らず自力ですべての変化・紛れをチェックし、この作品を創作されたわけで、私みたいな根性のない作家にはとても真似できないことだ。

その情熱がこの素晴らしい作品集の源流となっているのだと思う。


さて、Popeye君は、私より根性あるので、どんな図でもうんざりもせずに、しらみつぶしにチェックしてくれるから、ありがたい。

例えば、こんな考えるのがイヤになるような図でも、4つの解をすぐに見つけてくれる。


H#4* 2sols.(0.2.1.1... 2.1.1.1...)

Black royal Knight d6

White royal Grasshopper f6

White Grasshopper x 3


この4つの解は、うまいこと盤面の4方向に分かれてくれるが、 2.1.1.1.の組は同じ内容なので、実質3解。


『山陰路殺人事件』(西村京太郎、光文社文庫)

2003年08月25日(月)

羽生竜王も含めれば、名人五人が覇を競う今期の竜王戦。

谷川VS森内は、森内前名人が制して、中原会長との挑戦者決定戦となった。

判官贔屓か、中原ファンは多いが、私としては、前回の名人戦での対決が、将棋の内容は面白かったのに、勝ち負けは一方に偏ってしまい、番数も少なく消化不良に終わってしまったので、取り直しの意味から、森内VS羽生戦に期待している。



極光IIの第81番(ばか自殺系、ばか自殺ステイルメイト、パオ、中立パオ、中立桂使用、26手、持駒制限)

昨日の森内VS谷川戦でもお互いの桂が歩の餌食になっていたが、将棋の桂という駒は、えらく不自由な駒である。

その不自由な桂での鋸引き。

作者はフェアリー系ならできることが、知られていないというが、まあ、フェアリー系だと、大抵のことはできる。

私もポーン鋸を作ってみた。


H#18 UltraSchachZwang

White royal Pawn h5

Pao a1, neutral Pao b1, neutral Pawn g5


大抵のことはできるとか言ってみたが、この仕組みだと、右→左はできるが、左→右はできない。どうしてか?


『LEONID KUBBEL作品集』(Yakov Vladimirov編)

2003年08月24日(日)

これまた前日のシリーズ本で、エンドゲーム100題。

L..KubbelはRinckよりドローが多い。

いろいろなドローの条件(K対K+S+Sとか)を体験できた。


京都民報の原稿を送る。

詰将棋を作ったのは久しぶり。

あまり良いのができず、旧作で数をそろえる。


一方、いろいろ創作を試みたチェスプロブレム(みんなフェアリー)の中で、出来の悪くないものを、海外諸誌に投稿。

これからも年2回くらい、やってみようかな。



極光IIの第80番(追加配置。自殺ステイルメイト2手を創作せよ。中立駒使用)

この中立駒を使って、2手の自殺系を創作せよ、というのはシリーズセルフ(ステイル)メイトに近い。

シリーズの場合は、盤面に配置されている駒でS#2(あるいはS=2)を作れ、というものだが、追加配置はそれの拡大版だと言えるだろう。

中立駒で詰めることができる形は限定的なので、こういった条件が成立するわけだ。

・・・と、頭ではわかっていても、正解図を見ると頭を抱えたくなる。

普通隅っこだけで完成しそうなものだが、なんでこんなふうに盤面の3隅にちらばったカタチになるのか?

この作品集は、どこまで行っても、できすぎなのだろう。


↓おまけ

Ser-H#2 Circe 2sols.


『HENRI RINCK作品集』(Yakov Vladimirov編)

2003年08月22日(金)

20世紀初頭のエンドゲーム100局。世界大会ではどうしてもエンドゲームで苦戦する。そこでセオリーの勉強からと思い、モスクワの「本の家」で購入した小冊子。

サクリファイスにより、RやQを落とすというのが、作品のテーマであることが多いように感じた。その分、大味な気もする。

小駒がないから仕方が無いかな。



極光IIの第78番(ばか自殺系、ばか自殺ステイルメイト、Locust,Vao使用、36手)

うかつにも1作とばしていた。

ローカストとヴァオによる送り趣向で、謎解きの味は薄いが、収束は煙ステイルメイトになっていて、相変わらず巧い。

これをみてるうちに、ローカスト鋸を思いついた。

ちょっと単純すぎるけど。


ばか自殺ステイルメイト 34手

13Locust, 32Vao


『タイムスリップ明治維新』(鯨統一郎、講談社)

2003年08月21日(木)

王監督を便器にした件で、フジテレビが叩かれている。

このように他人をケナすことで、ウケを狙った番組は、多少キツめに誅されておいたほうがよい。他人の人格を尊重しない行為が、いかに引き合わないかということを示すことによって、小中学校などのイジメ防止に繋がるかもしれない。



極光IIの第79番(ばか系、ばか打歩詰、中立駒使用、7手、ツイン)

中立駒による合駒の逆利用と入手。

中立駒はどちら側の手番でも、動かすことができるが、「持ち駒」になっている間は、「中立」の概念はない。

このため、なんとか歩を手に入れなければならない。その手順が巧くツインにもなっている作品だが、もし中立ルールで、「持ち駒」という概念にも「中立」があったら、どうなるだろうか?

とりあえず作ってみたけれど、普通のルールと違和感のない作品。余詰むかも。



ばか詰5手。 b)21桂->52

14中立飛、25中立角

※持ち駒双方なし。

※「中立駒の持ち駒も中立」式のルール


a) 24中立飛、同角、14中立角、13玉、11中立飛!まで5手。

b) 34中立角、43中立角成、33中立馬、同角、41中立角!まで5手。


ちょっと面白いのは、攻め方が取った中立駒を、最後まで使わずに詰めても、駒余りにはならない、ということだ。

なぜならば、詰め上り図は玉方の手番だから、中立駒は玉方の持ち駒だからである。

したがって、中立駒の合駒に、無駄合はないということになる。

してみると・・・こんな作を思いついてしまった。

なんと、「オーロラ」「オーロラII」ばりの7連続合である。



かしこ詰。32中立歩

※後手持ち駒残り全部(中立駒はない)。

※「中立駒の持ち駒も中立」式のルール。


32王、81中立歩、同竜、71中立歩、同竜、61中立歩、同竜、51中立歩、同竜、41中立歩、同竜、31中立歩、同竜、21中立歩、同竜まで15手詰。


・・・ルールの特徴を生かして表現してはいるけど、こーゆーアホらしいものではなく、もっと知的に作りたいものだ。


ムダ合の逆利用というのはせこいので、ほんのちょっとひねってみた。「オーロラeasy」と命名してみるか?



かしこ詰。32中立香

※後手持ち駒残り全部(中立駒はない)。

※「中立駒の持ち駒も中立」式のルール


32王、88中立香、同馬、77中立香、同馬、66中立香、同馬、55中立香、同馬、44中立香、同馬、33中立香、同馬、22中立香、同馬、同歩、12中立香まで17手詰。


2手目88中立香は先ほどの意味付けとは異なる。

22桂合などだと、12中立香と打たれてそれまでだから、持駒の中立香を盤面に退避させるために、合駒をするものである。


『悪徳の都 下』(スティーヴン・ハンター、扶桑社ミステリー)

2003年08月20日(水)

いまひとつ盛り上がりに欠ける。というのも、(こんなこと書くとネタバレになるが)善悪好対照の若者たちが、途中から現れなくなるから。

もしかしたら、次のシリーズ作品に、出てくるのかもしれないけれど。

古典的な誤変換を発見。(388ページ)


草原地帯の野火、とりわけ、たえず風の吹く丘の斜面での野火が、どれほど速く燃えひろがるものか、彼はまったくわかっておらず、非難する場所もなかった。


平安VS東北はいい試合だった。

延長11回、服部ついに力尽きたけれど、あれだけやれば、思い残すところはないだろう。



極光IIの第77番(ばか自殺系、ばか自殺詰、Lion使用、10手)

Lionというのは、クィーンの方向に、1枚駒を飛び越えて移動する駒だ。「跳んだ後、走る」グラスホッパーだと教えられた覚えがある。

作者は「Lionでの合駒を作ってみたかった」というのが創作動機とのこと。

チェスでは取った駒を再使用しないから、合駒は移動合しかありえないので、通常の手とさして変わらないが、特定の合駒をやってみたい、というのは、Under Promotionの創作動機に通ずるものがあると思う。

もっともこれは、「不成モノ」という感じもするけれど。

ちなみに、取った駒を再使用するルールに近いものとして、SuperCirceというのがあり、これは取った駒を取った側の任意で、盤上のどこかに再生させるルール。ただし、味方の駒にはならない。これと持駒再使用ルールの類似は、上田さんも指摘されている。

S#4 Lion d8

SuperCirce

まあまあの出来なので、ひとつどこかに投稿してみるかな?


『悪徳の都 上』(スティーヴン・ハンター、扶桑社ミステリー)

2003年08月19日(火)

「崩壊した伝説の都市の多くがそうであるように、都市というものは悪徳と快楽の幻想によってのみ、さらにいえば、そのような人間の弱点を許容するのみならず奨励するほどの安全性の幻想によってのみ、存続しうる。もしその幻影が傷つけば、すべてが失われるのだ」(300ページ)


いっしょうけんめい、カジノを導入しようとガンバっている知事はもしかしたら、この台詞に同意なのかも。まあ、賭博といっても公営とモグリとは違うか。あるいはすでに悪徳と快楽の幻想によってこの都市は存続しているのだろうか?



極光IIの第76番(自殺系、自殺詰、42手)

長手数のセルフメイトというのは、王手連続になりやすく、その点、この詰将棋の自殺詰とも似た感覚があると思う。

上田さんは、自殺詰には合駒が似合うと書いている。しかし、もちろんチェスのセルフメイトでは合駒はない。

そのかわりに、どこかで王手ではない「ぬるい」手を入れるなどで手順を分岐させる、というのが常道で、作品の奥行きは深くなるのだが、手数を長くするのには向いていない。

もちろん、このほかにも、金や銀みたいな小駒のバリエーションが乏しいということもある。


モスクワの世界大会での、Metaxaツアニー(優勝するとギリシャの酒、Metaxaが貰える)は、6手以上のS#nで、ミニアチュア(簡素図式)、かつ、詰め上りの形が2つある、というのが課題だった。

これはかなり厳しい条件(特に、ミニアチュアというのが辛い)で、エントリは少なかったようだ。

私も挑戦してみたが、5手がせいぜいだった。

それを単純に逆算して8手にしてみたが、単純な逆算はたしかあまり意味がなかったと思う。

S#8

1.Qa6+ Qa4 2.Qd3+ Qb3 3.Bc1+ Ka4 4.Bd2!

4.... Qxc2 5.Qa6+ Kb3 6.Qb5+ Ka3 7.Bb4+ Kb3 8.Sc1+ Qxc1#

4.... Ka3 5.Bb4+ Ka4 6.Qc4 Qxc2 7.Bc3+ Ka3 8.Bb2+ Qxb2#


『レンテンローズ』(太田忠司、富士見ファンタジア文庫)

2003年08月18日(月)

ローズという駒はフェアリー駒にもある。

その動きからローズというのだけれど、薔薇よりは四つ葉のクローバーに似ていると思う。

H#4 2sols. UltraSchachZwang

Neutral rose h3

Neutral nightrider d4,g6

Roh6は、g5,h7,e6,c5,b3,c1,g1,f4,f8,f2,d3,d7に移動することができる。


さて、昨日の一筆書きの方法に対し、インチキだという意見もあるけれど、あの程度でインチキとは片腹痛い。

清水流の一筆書きをさらに発展させて、今度は「玉」を一筆書きで書く方法を考えた。

インチキというのは、こういうのを言うのだ。→「玉」を一筆書きで書く方法



極光IIの第75番(ばか自殺系、ばか自殺詰、ナイトライダー、中立ナイトライダー使用、6手、ツイン)

合駒の組合せを問うタイプの問題は、当然ながら、チェスでは想像もつかない。

しかし、似たような感じの手順ができるかもしれないフェアリールールを思いついた。


「Japanese Reusable Circe」


取られた駒は、取った側の直後の手番で、通常の着手のかわりに、盤上の任意の位置に敵の駒として復活する。

直後以外に復活しない場合は、二度と復活できない。・・・(*)

復活するかどうかの選択と、復活する場所は、盤面任意。

ただし、ポーンに関しては、

@敵陣1段目には復活させることはできない。

Aポーンの復活により、即座に詰みとなる復活は、不可能。

という制限がある。

初形において、「直前に***を取った局面」というようなコトワリを設ける作品も考えられる。

なお、(*)を外せば、将棋と同じ再使用ルールとなるけれど、Circeという感じがしなくなる。

これで作品ができるかなあ?


『新ゴキゲン中飛車戦法』(近藤正和、日本将棋連盟)

2003年08月17日(日)

NHK将棋講座で清水先生が、「王を一筆書きで書くにはどうすればよいか」という難問を出題していた。その解答は私にはいささかアンフェアに思えた。確かにこれならば、「先」でも「生」でも一筆で書ける。

しかし、私が思いついた別解のほうがエレガントだと思うのだが。



極光IIの第74番(ばか自殺系、ばか自殺詰、ナイト、中立ナイト使用、Madrasi、14手)

王手駒はナイトだけだから、なんとかブロックしなければならない。そのため、83玉とか72玉とか、玉は近くに置かなければならないので、最終手「同ナイト」のような手ではありえない。

結局中立駒で詰めるわけになる。

最終手72中立ナイトは、先手番では動けるが、後手番では動けない駒になっている。

さて、それはいいのだけれど、チェスプロブレムの検討ソフトでは、最終手に対して、93ナイトとして逃れているようになってしまう。

中立駒+マドラシのときの動きの可否判定に、バグがあるのだろうか?


『風が吹いたら桶屋がもうかる』(井上夢人、集英社文庫)

2003年08月16日(土)

昨日のSolvingChessのページはやはりなんかの間違いらしく、FMは外されて訂正されていた。

あと、ばか千日手でのRexMultiplexについては、要するに、ロイヤル駒を2つ以上使っている作品は、その詰の条件が二玉詰かRexMultiplexかどちらかなので、そう表示しているだけのこと。ばか千日手だから、あまり詰の条件は関係ないのだけど。

今日の気温は21度。雨は嫌だけど、お盆に墓参とかされる方は助かるのではないか。農家はたいへんだろうけど。

連盟に行って「新ゴキゲン中飛車戦法」入手。神宮花火大会は雨で中止らしい。



極光IIの第73番(追加配置、中立Gtrasshopper配置で1手詰を作れ)

中立駒で詰めるのは難しい。

たいていの場合、元の位置に戻されてしまうからだ。

Grasshopperは、動きが非対称だから、比較的やりやすいハズだが、王手を1枚でかけられないため、中立だけで詰めるというのは、非常に難しい。

また、1点にしか利きがないことから、うまく配置しないと玉の回りをブロックできない。

この作品の詰め上がりの場合、95と84のGで王手をしている。

95のGを93に跳ぶと、こんどは93と83のGで王手になる。

また84を82に跳ぶと91と82で王手。

84を62に跳ぶのも51と62で王手になる。

狭い空間にうまく配置されている。

この作品は、フィンランドでカイロード氏に見せて、「perfectly」と評されたという。


ところで、フェアリー駒には、ContraGrasshopperという、Grasshopperと対照的な動きをする駒がある。

これは、隣接した駒でしかジャンプできず、ジャンプしてから先はQみたいに走って動いたり駒を取ったりできる、というもの。これならちょっと性能が高いから、やりやすいかといえば、とんでもない。

けっこう苦労したけれど、6枚でできた。

しかし、もしチェス盤でbKc6,wKe6なら、もっと駒数が必要になる。

チェス盤の狭さを改めて感じた。


『監督刑事』(小林信也、東京書籍)

2003年08月15日(金)

Solvingchessのページ

http://www.geocities.com/solvingchess/

をみると

47.FM K.Yamada (JAP) 2409 になっている。

私はいつからFMになったのだろうか。

もう1回今回と同じくらいの成績を出せばFMというのは、若島先生に教えてもらったのだけれど。



極光IIの第72番(ばか自殺系、ばか自殺詰64手、PWC)

PWCというルールは、チェスでも結構作られている。

ただ、王手連続の場合は、プロブレムというより詰将棋の普通作にぐっと近くなっているように感じる。

この作品では、金という駒の特性により、じわじわと歩を引き寄せていく手順を表現しているが、チェスの場合は金のような地味な駒がないことと、盤面が狭いことから、こういった繰り返し趣向には向かないところがある。

同じような仕組みで創作してみたが・・・

H#12.5 UltraSchachZwang PWC

1...Kc6-c5 2.Sb8-a6 + Kc5-d5 3.Sa6-b4 + Kd5-d4 4.Sb4*c2 [+wPb4] + Kd4-c4 5.Sc2-a3 + Kc4-d4 6.Sa3-b5 + Kd4-d5 7.Sb5-c7 + Kd5-c5 8.Sc7-a6 + Kc5-c6 9.Sa6*b4 [+wPa6] + Kc6-b6 10.Sb4-d5 + Kb6-b5 11.Sd5-c7 + Kb5-c5 12.Sc7*a6 [+wPc7] + Kc5-c6 13.Sa6-b8 + c7*b8=Q [+bSc7] #

一本道だけど、いちおう、初形に還元してはいるか。


『夭都七事件』(物集高音、祥伝社)

2003年08月14日(木)

この日記での極光IIの解題に対して、某氏からメールでご意見いただいた。

こつこつと続けていることに反応があるというのは嬉しい限りだ。

しかし、第3番の派生で作ったばか千日手は、Vizirだけで延々と王手するだけで初形に戻ってしまうことを指摘されて唖然。これはみっともない。

まあ、そのうちに直そうっと。



極光IIの第71番(ばか系、ばか千日手3312手、ロイヤルリーパー系4種、石、Vizir使用、Rex Multiplex、持駒制限)

目新しいリーパーを4枚も使っているけれど、仕組みは3番と同じ千日手による長手数作品。リーパー駒が時計の長針、石が短針みたい。

Rex Multiplexと持駒制限の意味はよくわからない。

ちなみに、(1,7)-リーパーは移動距離が、ルート50になるが、ルート50リーパーと呼ばれる駒とは別の駒である。


H#2* WhiteUltraSchachZwang

RoyalRoot50Leaper c8,e2


Setは以下の手順。

1...Bd3-a6 + 2.rRFc8-b1 Ba6-d3 + 3.rRFb1-a8 Bd3-e4 #

そして、黒から指す場合は、

1.rRFc8-h3! Bd3-f5 + 2.rRFh3-a2 Bf5-e6 + 3.rRFa2-h1 Be6-d5 #


「羊の道草」でおなじみのAntelopeという駒も、(3,4)-Leaperであるが、ルート25リーパーとは別の駒である。


『魔宮の攻防』(栗本薫、ハヤカワ文庫)

2003年08月13日(水)

asahi.com将棋に、時間切れで終わった朝日オープンの将棋が解説されている。

時間切れについて、プロの方々などの意見が読めて、なかなか面白い。


私は、この対局結果には疑問に思っている。

なぜならば、秒読みというルールは、残存する秒を適宜知らせる前提で成立する対局規定であると考えるからだ。

だからこそ、対局者は「25秒から読んで」とか「声を大きくして」とか要求できる。

極端なことを言えば、トイレまで声が届くくらい声のデカい人に代えてもらうこともできるはずだ。

だから、最後の10を読まれたということを、認識しないままに、強制的に負けにされることは、ありえない。それは、玉を詰まされるまで、強制的に負けにされることが、ありえないのと同じことだ。

もっとも、対局者が自ら時間切れ負けを認めるか、あるいは秒読みでトイレに立ったことが悪質な時間稼ぎであると判定された場合には別であるが、この対局ではそんな裁量はなかったように思う。



極光IIの第70番(ばか系、ばか詰13手、ロイヤル覆面駒使用、Rex Multiplex、持駒制限)

RexMultiplexというルールは、すべてのロイヤルが同時に詰みとなっている形にもっていくというルール。

一方、第1番の二玉詰は、どちらかのロイヤルを詰めれば勝ちであるというより、どちらかのロイヤルを取れる形にもっていくルールで、それぞれ異なる。

ちなみに、昔、二玉詰のルールで79玉詰(玉を79個使用する)という冗談作品があったけれども、RexMultiplexのほうの最大駒数は、何枚なんだろう?

駒余りやすかし詰も許されるとすれば、9枚か。

駒余りなしで9枚というのは、ありうるだろうか?

チェスだと10枚まで可能なように思う。

さて、本作は、すべてのロイヤルを詰める以前に、すべてロイヤル覆面駒であるから、どのような駒ならそういう図がありうるかから想像しなければならず、さらに、それを証明する手順を発見しなければならない。

そのうえ相変わらず無駄なところいっさいナシに、見事に仕上がっている、完璧な作品のひとつだ。この詰め上りは、忘れようにも忘れられないだろう。


『白雁組曲 下』(田中至、全日本詰将棋連盟)

2003年08月11日(月)

これだけの数の全駒市松曲詰を作るというのはよくあきないものだと感心させられる。

最後のほうに


詰将棋パラダイス誌、入選百回に達すると同人作家となり、自由出品が許されることになる。


ふーむ。そうなのか。

しかし、そうはいっても、ボツにされることもあるのだが。

こんな風なことを書いてあると、故人に対して心無いとはいえ、作品数百局のこの作品集も、実質何作くらいなのだろうかなんて思ってしまうのだ。



極光IIの第69番(ばか自殺系、ばか自殺詰140手、中立パオ、中立Rookhopper、Rook-Lion使用、持駒制限)

第42番くらいでも結構難しいのに、本作くらいまでくると、もう手がつかない。この作品集でも最も複雑なサイクルだと思う。

中立のホッパー系と王手連続というのはこれほどまでに難しいのかぁ。

私もマネして作ってみた。

H=29 UltraSchachZwang NoBK

Pao x 15 , Dolphin d1, Royal Pawn e1


Dolphinという駒は、Grasshopper+Kangaroo の働きがある。

1.PAc1+ nDOb1 2.PAd1+ nDOxf1 3.PAg1+ nDOh1 4.PAf1+ nDOxd1 で1サイクル。最後は29.DOg1+ Bxg1= まで。


『王手』(升田幸三、サンケイドラマブックス)

2003年08月10日(日)

モスクワ報告やらなにやらで、週末宇治に里帰り。

台風10号の影響が心配されたが、宇治川花火大会も無事開催された。



極光IIの第68番(ばか自殺系、ばか自殺詰6手、中立駒使用、Horizontal Cylinder)

双裸玉でうまくまとまっているけれど、単解なので普通の作品に見える。

収束は中立駒だけの詰め上がりとなっている。中立駒での王手は、一手前の形に戻されて受けられることが多い。

ここでは成ることによって性能を変化させることにより、両王手による詰め上がりを実現させているわけだ。

チェスプロブレムでは、成りはポーンにしか許されていないから、あまりこういうことはできないと思う。


『Ясцновамскце цновамскцеконкурсы』

2003年08月09日(土)

世界大会では各国がツアニーなる創作コンテストが開催される。

初めて参加したテルアビブ大会でもヤシノバタヤ・ツアニーというのがあり、私がでっちあげた作品が佳作になった。


その作品は、PDB(http://www.softdecc.com/pdb/index.pdb)で検索できるが、なんや知らんがゴルバノフ氏に手を入れられているみたいだ。

そんな縁で今回の大会の折にいただいた作品集。ヤシノバタヤ・ツアニーでの課題と同じテーマの作品がたくさん収録されている。

ただ、もうひとつ似たり寄ったりで、一工夫ほしいなあというのも少なくない。



極光IIの第67番(ばか自殺系、ばか自殺ステイルメイト140手、中立パオ、中立ライオン使用、持駒制限)

持駒をハガすというステイルメイトのパターンは、再使用が許される将棋ルールの特権といえるだろう。

もしチェスでやるなら?うーん。

H=23 Locust a6, UltraSchachZwang, Kmadrasi


ちょっとひどい出来。


『赤ちゃんがいっぱい』(青井夏海、創元推理文庫)

2003年08月08日(金)

毎回世界大会に行った結果を、フォルダにまとめて整理している。今年もモスクワでの記録や、撮った写真などをまとめていて、ようやくできた。

こんなことしていると、時間がいくらあっても足りない。

現在のところ、


・ホームページの更新

 (ムーシャ、曲詰、WCCC報告など)

・プロパラへのWCCC報告

・プロパラの結果稿

・プロパラの作品の転送(Wコース休止に伴う)

・のんびり。詰の賞品発送

・NTTへの電話代の振込み

・5手詰作品集の英訳

・部屋の整理

・ドイツへ行ってしまった菊田さんへのセンベツ

・自作詰将棋を送付してくる某外国の方への対応

・同人室の課題作投稿


など、きわめて重大なものが手つかずになっている。どうしたものか。



極光IIの第66番(持駒推理、ばか自殺詰4手を創作せよ、中立使用、ツイン)

配置推理によるばか自殺詰の創作。双裸玉のばか自殺は従来の将棋の世界でも掘り進められているが、中立駒がこれほどまでにしっくりくるとは、誰が想像しただろうか。

我々の想像を超える上田氏の創造は、さらに配置推理・ツインをも導入。

完成された遊びの世界がそこにある。


『千里眼』(松岡圭祐、小学館文庫)

2003年08月07日(木)

ジェフリー・ディーヴァーの影響を受けている気がする。

ただ、より素直な話の流れなので真相はすぐ推測できるし、どんでん返しもないけれど、それなりに楽しめた。


王位戦第3局は谷川3連勝。

最後羽生に手番が回り、勝ちがあるかと思ったが、どうなのだろう?


極光IIの第65番(ばか自殺系、ばか自殺ステイルメイト、46手、ナイト、Grasshopper使用、持駒制限)

チェスのナイトは普通2枚だから、持駒がナイト21枚というのは、桂馬を21枚持っているみたいなもの。

ステイルメイトなので捨てまくるよりなく、某氏が作った持駒4兆枚で8兆手の作品を思い起こさせる。

しかし、この作品は、そんな千日手まがいのものではない。

ちゃんと謎が用意されているのだ。

31手目の77桂。この手は17手目にうっかり跳ねてしまいそうになる。しかし、17手目に跳ねると、同竜で、以下86ナイト、84ナイト・・・と捨てていくと、ちょうど57ナイト、同竜では決して終われなくなるのだ。

そこで17手目は57ナイトで逆回転。

作者は笑える作品と書いているが、この笑いは知的な笑いであると言えよう。

こういう知的に笑える作品を作るのは作者の言うとおり大変難しい。

私がばか自殺ステイルメイトを作ってみると・・・


H=16 UltraSchachZwang

RookHopper a3, Kangaroo a2

1.RHa3-a1 + Ra4*b4 2.RHa1-a3 + Rb4-a4 3.RHa3-a1 + Ra4*c4 4.RHa1-a3 + Rc4-a4 5.RHa3-a1 + Ra4*d4 6.RHa1-a3 + Rd4-a4 7.RHa3-a1 + Ra4*e4 8.RHa1-a3 + Re4-a4

9.RHa3-a1 + Ra4*f4 10.RHa1-a3 + Rf4-a4 11.RHa3-a1 + Ra4*g4 12.RHa1-a3 + Rg4-a4 13.RHa3-a1 + Ra4*h4 14.RHa1-a3 + Rh4-a4 15.RHa3-a1 + Ra4*a2 16.RHa1-a3 + Ra2*a3 =


『蛇行する川のほとり 1』(恩田陸、中央公論新社)

2003年08月06日(水)

王位戦第3局は相居飛車なのだけど、左美濃VS5筋位取りという変わった将棋。

一昔前を比べて、タイトル戦での相矢倉というのは本当に稀になってきている。

これでは中原、米長、加藤といった辺りの経験が通用しないのも仕方ないだろうと思う。


王位戦といえば、第1局の自戦記が将棋世界9月号に掲載されていたけれど、例の若島先生指摘の62角は解説されていなかった。

この手はどこかで陽の目をみることがあるのかな?



極光IIの第64番(ばか自殺系、ばか自殺詰、14手、ナイト使用、ツイン)

ナイトはこの作品集で使用されている唯一のチェス駒だ。そのナイト一色図のばか自殺詰。

ナイトの位置を72と76にすることで、同じタイプの詰め上がりを2通り得られるが、それを、上下でやっているということ。

ナイトになれるために作ったとのことで、習作っぽい感じ。

それでも綺麗にまとまっていると思う。

ちなみに、ばか自殺詰はチェスプロブレムでもある。

UltraSchachZwangというルールでヘルプメイトを作ればいい。

ためしにやってみると、こんな感じ。


H#3 UltraSchachZwang 2sols.


1.Qa8-d5 + Kc4-c3 2.Qd5-d2 + Kc3-c4 3.Qd2-a2 + Re2*a2 #

1.Qa8-g8 + Re2-e6 2.Qg8-c8 + Re6-c6 3.Qc8-a6 + Rc6*a6 #


作者は、「駒に大分慣れた頃、久しぶりに詰将棋をやってみると、桂という駒がフェアリー駒に感じられて、妙な気分がした」と書いているが、これと同じようなことを森内プロも仰っていたような気がする。


『奇術探偵曾我佳城全集 秘の巻』(泡坂妻夫、講談社文庫)

2003年08月05日(火)

王座戦の挑戦者決定戦は、阿部七段の粘りをものともせず、渡辺五段の快勝。

これで羽生VS渡辺対決が、本格的に実現する。

もしかしたら、これが、かつての大山×中原、谷川×羽生みたいな、延々と続く(因縁の)対決というものになるのかもしれない。



極光IIの第63番(連続系、連続自殺詰、27+1手、覆面駒、Locust使用)

非常に難しい作品ではあるけれど、初形で、覆面駒がもし両方ともLocustならなあ〜ということに気付けば作者の狙いはわかる。

しかしそれからが大変だ。Locustであることを証明するには、他のすべての駒の利きに玉が移動しなければならないが、Locustの側に接近するには、取られないように反対から飛車で支えてやらなければならない。

ちなみに、95飛、93玉、91玉(55V≠馬、角)、とかで55を角以外にしておいて97をLoだと証明してから、73飛成としても、相手は詰まされての投了を選択できるから、失敗となる。したがって、実はこういった連続ルールで特定の駒であることを証明する問題の場合、歩や香といった反証しにくい駒と同じ利きを持った駒であることを証明することは難しい。Loは歩や香とはまったく性能が異なるからこそ、こういう手順が実現するのだ。まったく巧い。


『ブラック・ティー』(山本文緒、角川文庫)

2003年08月04日(月)

全詰連のHP http://ztrhome.cside.com/ に、全国大会の報告が載っている。

そこに、上田さんと若島先生の対談について、「話の4割も理解できなかった」と書かれている。

どうしてだろう。あの時は、フェアリーやチェスプロブレムを知らない人にもわかるように、事例を挙げて説明していたのに。

また、書いた方は伝統詰将棋における長編分野の権威で、大学院の担当や看寿賞の選考委員もされている方であり、「極光II」には30万手だとか数千手とかの作品がごろごろしているから、一般人よりも興味はあるはずだ。

なのに、話の4割も理解できないというのは、どういうことだろうか。

対談の中で、上田さんの作品を海外の一流プロブレミストが賞賛したあたりはカットして、二人の謙虚な台詞を、わざわざネガティブな立場として引っこ抜いているあたり、意図的に背を向けているのではないか?とまで、かんぐりたくなるのだ。



極光IIの第62番(ばか自殺系、ばか自殺ステイルメイト、86手、Pao、石使用、持駒双方なし)

王手連続というルールの場合、Paoほど捨てにくい駒はない。なぜならば、Paoによる王手は、必ず玉から離れたところからかけられるので、「同玉」がありえないからだ。

というわけで、玉方の駒に取ってもらう必要がある。この作品の場合は端の香を利用している。趣向手順自体は伝統詰将棋風。

これをもとに、ゼンゼン伝統詰将棋風じゃないものを思いついた。

ばか自殺ステイルメイト。128手。

Pa=Pao、G=Grasshopper、石=(0,0)-leaper


『殺人の駒音』(亜木冬彦、角川文庫)

2003年08月01日(金)

すでに大部分のプログラムは終わっており、今日はひたすら観光アンドお土産探し。

もちろん、チェス本なんかはすでに確保しているわけだが。

夕方にバンケットがあり、夜遅くまで盛り上がる。

以上で今年のWCCCは終了。

まとめてみると、今回は以下のとおり。


○解答の部

・チームは6位と大躍進。あと1問解けてたら3位だった。

・二人とも最高成績。

・私はもう1回これくらいの好成績を取れば、FM(フェデラルマスター)の資格を得るらしい。

・二人ともソルビング・ショウに出場。若島先生2位。


○創作の部

・私はQuickで10位、URALツアニーで4位。

・若島先生はBecherovkaで2位。

・JapaneseSakeTourneyはカイロードが1位。他はいまいち。


○その他

・ロシアへ行くビザはおりにくい。

・アエロフロートは意外とまとも。

・ロシアのタクシーは意外とまとも。

・ホテルの部屋は豪華。

・ロシアは暑い。

・モノは安い。

・メトロは便利。

・ビールはおいしくない。

・今回も現地でほとんどお金を使わなかった。

・次回は10月にギリシアのクレタ島であるのだそうだ。


ちなみに、7月30日〜8月1日までの本は、8月2日にまとめて読んだもの。

この日記もまとめてなのだ。



極光IIの第61番(連続系、連続自殺ステイルメイト、12+1手、中立Non-Stop Equihopper使用)

正直言って、評価がわからない作品。ただ、中立駒を取ってそれを打つ手順にしているところ、また、1度先手の王を動かして、またもとの位置に戻しているあたりが、作者らしいなあと思う。

このルールでチェスで作ってみようと思ったが、同じ最終形は8x8ではできない。

まあまねしてみたけど、この程度。

Ser-S=8

Non Stop Equihopper b8


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