2004年年賀詰『2004』


(持駒はなし)

史上初?の16×16盤による巨大初形曲詰『2004』
毎年、年始のご挨拶は初形曲詰なのですが、いつも盤面の狭さに苦労させられます。
(たまに、助けられることもありますが)
しかし、考えてみれば、象形図式を作る上で、

盤の大きさなんて、そんなに後生大事に守らなければならないものでもないのでは?

と思いました。
そんなわけで、これまでの将棋の枠組みに、文字通り「収まらない」作品を作ってみよう!
と、この初形条件にチャレンジし、1ヶ月くらいで完成させることができました。
苦労したのはやはり、このひろがった配置のすべてに意味を与えることです。
また、やはり広い盤には不慣れなので(当たり前だろ)読みにくかったということです。

いつもの動く盤面はつかえませんので、以下に順を追って解説いたします。
(なお、この盤面は「梔子こみゅにてぃ」の素材を使わせていただきました。


16三桂成、同玉、16四歩、16二玉、16三歩成、同玉



初手9三桂成・・・かとおもいきや、「16三」桂成なんですねぇ。。。
2歩禁を回避するために、16四の歩を消しておきます。
15四金、16二玉、16五竜まで・・・かとおもいきや、遠くから竜が効いていますのでご注意を。


15四金、16二玉、16三歩、16一玉、15一と、同玉、14二角、14一玉



14二角のところ13三角は16一玉で詰みません。


15二銀成、同玉、15三金、14一玉、15一角成、同玉、16二歩成、14玉、15二と、13二玉



この辺りの捌きは公式的な手順ですが、都合よくつながったと思います。


14二と、13三玉、12三歩成、同玉、11四竜、12二玉、12一桂成、同玉、12三竜、11玉



13三玉は12二玉でも同じです。ここまで追えばようやく右辺への道が開きます。


8四角成、同竜、11三竜、10一玉、10二銀、9二玉、9三竜、同竜、同と、8一玉



銀を補給して、じっと11三竜が好手。11二歩は10二銀、12一玉、12三竜以下。
高い合駒は10二銀、12一玉、11二竜以下。
93竜とぶつけて竜を精算します。93同とのところ同銀成でもよくて、ここは非限定。


8三飛、7二玉、8二と、6一玉、6三飛成、5一玉、4二歩成、同金、同桂成、同玉、
5二金、3一玉、2一歩成、同玉、3二桂成、同玉



ここまで追っかけてくれば、ようやく収束。それも「あの筋」です。


2三香成、同銀、3三金、2一玉、2二歩、1一玉、1二歩、同銀、6一竜、2一歩、
同歩成、同銀、同竜、同玉、3二銀、1一玉、1二歩、同玉、2三銀成、1一玉、2二金、
まで81手詰



公式的収束とはいえ、一応歩合も入って、すべての駒が捌ける手順に仕上がりました。
気がついたら81手の長丁場。まぁ、巨大な配置ですから手数も長くなるわけです。
そのためか(←いやたぶん、盤が規格外だからだろ)解答者はわずか4名でした。


ご解答いただきました皆様には厚く御礼申し上げます。
ありがとうございました。
以下は短評です。(全員正解でした)

やっくん さん
4つの部分がある程度独立しているのでなんとか解けました。
16五歩の配置は後付けだとすると幸運ですね。
毎回、創作の過程を不思議に思っています。
今年もよろしくお願いしますm(_ _)m

猪田哲平 さん
・・・・凄過ぎます。。 まず作ろうと思うのがスゴイし実際に作っちゃうのがもっとスゴイ。
しかも、ここまで捌けるとは!コーヘーさんの天才っぷりを発揮した傑作ではないでしょうか。
惜しくも煙らないのが残念ですが(笑)

今川健一 さん
超大型曲詰で、加えて手順も素晴らしい。
手順もさりながら、このような発想、構想には驚き。
詰棋史に残る大作で、新しい詰将棋の世界が拡がりますね。
追伸 盤面が拡がって、解答を書くときに、「これは何筋?」と苦労しました。

taka-o さん
この初形のアイデアがまず目に飛び込んで来るところではありますが、
切れたかなと思いながら綺麗に続く捌きに加え、42手目81玉をはじめ
適度に読む変化もあり、収束では「おお、あの手順だ」と心理をくすぐられて
心底楽しめました。
今年も、 Kohey さんのご活躍に期待しています。


さて、景品の「プロブレム・パラダイス最新号」の当選者ですが、
厳正な抽選の結果、やっくん さんに決定しました!。
Dコース(オーソドックス)の担当をしていますので、そちらもよろしく。

さらに嬉しいことに、「おもちゃ箱」での年賀詰展示室での人気投票で、本作がなんと1位!
普通の詰将棋ではないにも関わらず、ご支持をいただき誠にありがとうございました。

よーし、またがんばるぞー!